アメリカ側は「中国側が約束を破った」ことを追加関税率引き上げの理由としている。2018年12月に米中首脳会談が開かれ、合意に向けて話し合いを続ける方針が示されたが、その時に交わされた内容の一部について、補助金、技術強制移転問題などの見直しを中国側が要求したからだと伝えられている。
中国ではアメリカの一方的な措置について、どのように報じているのだろうか。
5月13日の人民日報は第1面に、2本の論説記事を載せている。「米中は経済貿易で提携することが正しい選択であるが、提携するにも原則がある」、「如何なる挑戦も、中国の前進の足並みを邪魔することはできない」の2本である。
前者について、その内容を一部紹介しておくと、「中国経済とアメリカ経済は深く融合しており、アメリカが懲罰関税をかければ、中国人民、アメリカ市民、世界の人々に不利益をもたらす。世界は多様であり、違いがなければ世界ではない。双方がお互いを尊重し、平等で対等といった原則を持ち、共通の考えを探し出し、異なる部分は保留しさえすれば、あらゆる障害を乗り越えることができる」などと説明している。
一方で、「中国側は、重大な原則に関する問題において決して譲歩することはなく、国家の核心的な利益と人民の根本的な利益を断固として守る。いかなる時も国家の尊厳を失うことはできず、いかなる人物も中国に自己の核心的利益を損なうような結果となることを呑ませることはできない」などと強い口調で主張している。
経済面については、「足元の経済は順調である。2018年における消費による経済成長への寄与率は76.2%に達している」と説明している。輸出はもはや、経済成長の原動力ではないと強調している。
その上で、「中国は世界全体でみて産業体系が最も整っており、科学技術のイノベーション能力を不断に増強している国家である。世界最大の中所得国家であり、14億人近い大市場を有している。発展の靭性、潜在力、耐久力がある。習近平同志を核心とする党中央の強固な指導の下、確固たる戦略を持ち、必ず勝つといった自信を強め、自分たちの立場をよくするといったことに精力を集中すれば、我々はいろいろなリスク・挑戦に対して沈着に対応することができ、一切の難題・リスク・障害に打ち勝つことができる」と力説している。