政府の懸命の旗振りですっかりおなじみになった「人生100年時代」。都内在住の67歳男性は「しんどい時代ですよ」とつぶやく。
「定年後は悠々自適を夢見ていましたが、実際には到底無理。政府は“死ぬまで働け”という方針だし、老後の生活が年金だけでは心もとないので、可能な限り働くつもりです」
だが、この男性の考えは収入面で考えれば正解とはいえない。生活費確保ために働いたのに、「働き損」となることがあるからだ。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が話す。
「確かに定年後も継続雇用を受けることで収入は得られますが、現役時代より給料は激減します。しかも税金や社会保険料がドーンと天引きされるので手取りは一層少なくなる」
たとえば65歳から75歳まで会社に継続雇用されて、月収20万円で働く場合、10年間で計2400万円を稼ぐ計算となるが、この間に天引きされる税金と社会保険料はざっと460万円になる。長く働くほど生涯収入は増えるが、その分「徴収されるお金」も多くなるのだ。
一方、65歳でスパッとリタイアして年金生活に入った場合、条件を満たせばこんな“特典”を得られる。その境界線は、「年金211万円」だ。