「無職の専業主婦」を標的にする年金改悪を報じた本誌・週刊ポストの記事(ネット記事のタイトルは、〈働く女性の声を受け「無職の専業主婦」の年金半額案も検討される〉)は、こんな反響を呼んだ。
「専業主婦は家事や育児、介護など重労働をしている。無職ではない」「ポストの記事は働く女性と専業主婦の分断をはかるものだ」といったお叱りの電話やメールもあった。
まずはそうした「誤解」を解いておきたい。「女性が輝く社会」のスローガンの下、働く女性とサラリーマンの妻(第3号被保険者)、さらにはパート勤務などの「働く主婦」と「専業主婦」を分断し、“第3号被保険者は保険料を払わずに年金をもらえる”と煽って専業主婦から年金保険料を徴収しようとしているのは国(厚労省)である。
これまでの年金改革の議論を辿るとよくわかる。
第3号被保険者の制度ができたのは、1985年の年金改革(実施は翌年)だ。それまでサラリーマンの妻(専業主婦)は国民年金に任意加入して保険料を払わなければ年金をもらえなかったが、「主婦は家事労働で貢献している」という考え方から「夫が厚生年金に加入していれば扶養家族の妻も国民年金に加入した」とみなされ、自分で保険料を払わなくても年金受給権を得るようになった。