2015年に厚労省年金局が社会保障審議会年金部会(2015年1月21日)に提出した資料には第3号制度改革の「主な意見」としてこう書かれている。
〈総論では第3号被保険者制度をやめることについては異論がないと思うが、具体的にどうするかは難しい問題。第3号被保険者制度を廃止すると宣言した上で、被用者保険の適用拡大を最優先に進めながら、(中略)2段ロケットで3号制度を変えるというステップを踏んでいくのではないか〉
さらに、この日の年金部会の席上、当時の厚労省年金課長は“無職の専業主婦”への「年金半額給付」や「保険料徴収」に言及した。
「一番最後に純粋に無就業の方が残るという問題がありますが、この点については、年金分割で考えるべきとか、(年金)給付は半分にするとか、世帯の所得がたくさんある方からは保険料をいただくのも考え方ではなかろうかとか、いろんな意見があった」
「純粋に無就業の方」と、専業主婦を“無職”扱いしているのは他でもない、厚労省なのだ。また、それより前の2011年9月29日の社会保障審議会年金部会では、当時の年金課長が、第3号被保険者制度について、以下のように発言している。
「特に共働きの方、独身女性に不公平感が生じており、批判的な意見として、一定程度の給与所得がある方も含め、130万というラインも含めて、本人が保険料を負担せずに給付を受けられるのはおかしいのではないかとか、就労調整というような形での悪影響があるのではないか(中略)というような批判があるところであります」
ここでも厚労省が「特に共働きの方、独身女性に不公平感」「批判的な意見」などと、働く女性と専業主婦の対立を煽っていることがわかるだろう。
これらの発言の内容は20年前からの厚労省の提案そのものである。国民年金の満額は約78万円だから、妻の年金半減は家計から年間約40万円が奪われることになる。これは決して“過去の議論”ではない。