新元号に切り替わった5月に入って以降、軟調な展開が続く日本株やドル円相場だが、今後はどのような展開が予想されるのか。FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが解説する。
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令和となってからのマーケットは、米中貿易摩擦によりクロス円は円高で推移しており、ドル円も同様に下落しています。
チャートをフィボナッチでチェックすると、年初につけた安値106.175円と112.41円の38.2%押しの位置が109.29円となっていて、今回、米中貿易摩擦の後で109.04円で止まる動きとなっています。
半値押しの価格は108.56円ですが、個人的にはいったん下攻めは終了したのではと考えています。108.90円あたりを割れてくる局面があれば、半値押しの108.56円も視野に入りますが、今のところはそこまで考えていません。いったんの下押しの目標は達成したと考えています。
今後の展望ですが、6月の大阪サミットあたりまでは、ドル円は109-111円のレンジで推移するという見方で現在マーケットを注視しています。足元でトランプ大統領がFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策を批判し利下げバイアスを強める発言を繰り返していますが、中央銀行は政府から独立した存在として金融政策を実施しています。「トランプ大統領にはそんなことは関係ない」という認識はマーケットでもすでにコンセンサスとなっており、あまり驚いていない状況です。
しかしトランプ大統領がFRBに利下げを求める一方で、5月はアメリカの地区連銀のトップが中央銀行の政策に関してコメントを出しており、現在の金融政策のスタンスは変化していないと発言しています。インフレターゲット政策を実施しているFRBからすると、関税は特に物価上昇圧力がかかるため、インフレ抑制のための利上げも考えられると個人的には考えています。言い換えると「トランプ大統領の発言はあまり気にしてないよ」という意思表示なのかもしれません。