「ブロ雅農園」の“ブロ”はブロッコリーの略で、鈴木さんが作るブロッコリーは農園の看板野菜。父・浩之さん(65才)の農園とはあえて一線を画すため、妻の寛子さん(36才)と「ブロ雅農園」を立ち上げた。
「親父が農薬アレルギーというか、散布した農薬で死にかけたこともあるくらい農薬に弱くて、必然的に農薬を抑えた、JAS規格には当てはまらない野菜をずっと作っています。出荷先もスーパーやデパート、『ソレイユの丘』の直売コーナー、そして飲食店などとの直接取引がメインです」(鈴木さん)
収穫する価値のない「規格外」。行き場のない野菜が今日も…
廃棄される農作物の最大の要因がこの“規格外”だ。形が悪い、色が悪い、重さが足りない…。そんな理由で廃棄される「規格外品」の野菜の量は、年間150万トンとも200万トンともいわれる。農協に野菜をまとめて卸して買い取ってもらえればラクな半面、規格外で出荷できない野菜は廃棄する農家が多い。
たとえば青首大根。野菜生産販売連合(三浦市とよこすか葉山農協による共販推進組織)では、大根1本の重量、長さに応じて2L~Sの秀優品にランク分けをしており、段ボール1箱に詰める本数も決まっている。
それゆえに生産農家は、形が悪い、あるいは傷がついた大根は収穫すらしないことがほとんど。今年の4月には、キャベツが大豊作で市場価格が暴落。「段ボール代の方が高くつく」と、畑に放置されるキャベツも目立った。出荷するほど赤字になるという矛盾が農家を苦しめる。
また、高齢化と人手不足もあり、廃棄するしかない農家もあるという。ブロ雅農園では「農福連携」を目指し、積極的に障がい者を起用。収穫などでともに汗を流している。
※女性セブン2019年6月6日号