ここ数か月、《子供部屋おじさん》という造語がインターネットを賑わしている。成人しても実家に住み続ける中年独身男性を表した言葉であり、学習机や漫画、おもちゃなど子供時代に買ったものが置かれた部屋が特徴だ。
あまりにも強烈すぎる、いわば“パワーワード”に「確かに学習机、頑丈で壊れないからいまだに使ってます」「じゃあ女性の私は子供部屋おばさんってことですか?」など多くの実家暮らしの男女が心を乱される結果となった。
その余波は芸能界にもおよび、シンガーソングライターの岡崎体育(29才)も「おれやんけ」とツイッターでつぶやく事態に発展。
過去を振り返ると、1990年代には親に寄生しているという意味から「パラサイト・シングル」という言葉が登場している。社会学者の山田昌弘氏の著書『パラサイト・シングルの時代』によると、「学卒後もなお、親と同居し、基礎的生活条件を親に依存している未婚者」のことを指す。
また、2000年代には「ニート(NEET)」という言葉が普及した。これは“Not in Education, Employment or Training”の略で、「就学・就労・職業訓練のいずれも行なっていない若者」を表わす。実家暮らしで働かない「ニート」が世間の集中砲火を浴びたりしてきた。
それらと比較すると、「子供部屋おじさん」という言葉には若干の柔らかさがあり、ネガティブなイメージも少ない。
その違いとして何より大きいのは、働いているか・いないか、という点だろう。「子供部屋おじさん」の場合、自分でお金を稼いでいながらも、節約のために実家暮らしをしているケースや、老親の介護などを理由に実家暮らしをすることもある。
もちろん、中には働かずに実家暮らしをしているケースもあるかもしれないが、それはあくまでも「子供部屋おじさん」の一部の人。実家で暮らす成人の母数が増え、ひとつのライフスタイルとして認知されつつあることも、「子供部屋おじさん」という言葉が受け入れられるようになった要因かもしれない。
※女性セブン2019年6月6日号