その結果、夫婦生活で少しでもうまくいかないことがあればすぐに両親に相談し、親もわが子かわいさに「じゃあ帰ってくれば」と、すぐ離婚が成立してしまう。
「実家が遠い方が離婚しづらいという統計もあるほど。離婚した後は、再び実家に戻り、親が面倒を見ることになります」(岡野さん)
現代においては、たとえひとり暮らしをしても、結婚したとしても自立できるとは限らないのだ。それでは、親はどうしたらいいか。畠中さんは「具体的な金銭感覚を身につけること」がカギになると語る。
「仕事をして収入がある子供が実家で暮らす場合、必ず月の家賃を徴収して、子供が見ている前でそのお金を使ってしまうことです。よく“娘の結婚資金”などと徴収したお金を貯める人がいますが、パッと使ってしまった方が子供は危機感を持つため、精神的な自立につながります。
また『家にいるなら、親の介護が必要になった時に必ず面倒を見ること』と子供に伝えて、その覚悟がないなら出て行ってもらう時期を決めるのもひとつの考え方です。子供はなかなか“弱った親”の姿を想像しづらいからです」
従来の常識が音を立てて崩れ、価値観が多様化する時代、「自立」について改めて考えるべきかもしれない。