大学全入時代と言われるようになって久しいが、そこで学ぶ大学生たちの「質」も大きく変化しているようだ。「Fラン大学」(Fランク大学)と言われる低偏差値大学の学生たちの授業態度が問題となっているが、近年では、偏差値60以上の大学であっても「大人になれない大学生」が増えているのだという。
都内の有名私立大学で教鞭を取る女性講師・Aさん(40代)が語る。
「私が大学生だった時代は、よくも悪くも『大人に見られたい』『もう自分たちは子どもじゃない』という意識があったように思うのです。しかし、今の学生は逆で『甘やかしてほしい』『もっと優しくしてほしい』という意識がとても強い。
それをはっきり示すのが、教員に向かって『先生は優しい!』『優しくない!』という言葉を発することです。『厳しい大人』を『性格が悪い大人』と解釈し、注意を人格否定と捉えて、講義に来なくなる学生もいます」
実際、彼女のゼミでは、依存傾向の強い学生も少なくなかったという。
「以前、ゼミ生に『優しく』接していた頃は、依存してくる学生がとても多かった。家族関係、友人関係とプライベートの悩みを友達感覚で話してきたり、『テストやりたくなぁい』『先生って彼氏いんの?』とタメ口で絡んできたり。すぐに『LINE交換して』『相談があるのでLINEしてもいいですか?』などと言い出します。これはまだかわいい話ですが、間違えて『ママ』『お母さん』と呼ばれたことも何度もあります(笑)。
ある程度、親身になりたい気持ちはありますが、それはカウンセラーや学生相談室など専門職の方がやる仕事です。今では心を鬼にして距離感をしっかり保つように心がけています」(Aさん)