取引先からのセクハラもさることながら、ユースケ・サンタマリア演じる、桜宮の上司である部長が「(取引先と)プライベートで飲みに行く分には自由」「女性ならではの役割がある」などと、セクハラに当たるか当たらないかのギリギリの線で、桜宮に接待を強要する場面も。「こういう上司、いるよね」と共感する女性も多かっただろう。
部長が女性のことを、「男性社員のお手伝い」程度にしか見ていないから取れる態度だが、それも部長に限ったことではなく、戦前からずっと続く「社会の構造の問題」なのだ。そこにメスを入れずに、何が「働き方改革」なのか。
何しろ世界的に見れば、日本の男女格差は今も根強い。男女格差の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」は、149か国中、日本は110位と極めて低い。連合(日本労働組合総連合会)の1000人を対象にした調査でも、約4割が職場にセクハラがあると回答しているほどだ。
ドラマの原作者である作家の朱野帰子さんが、自身のOL時代の体験も踏まえて話す。
「第5話は、女性がコミュニケーション能力を『搾取』される問題が浮き彫りになっていましたね。桜宮は、コミュニケーション能力が高く、持ち前のノリのよさで人に好かれるのに、自分の仕事に自信がないばかりに、男性社会に迎合してしまう。私自身も、若い頃はおじさんがチヤホヤしてくれると、それが自分の役割なのかもしれないという錯覚に陥り、男性の望む女性を演じてしまうこともありました。
そういう関係を強いるクライアントと戦ってくれる結衣の存在によって、桜宮は自分が無理をしていたことに気づく。多くの女性が切実に感じるテーマだと思います」
※女性セブン2019年6月13日号