大塚家具は勝久氏との関係修復についてこう述べた。
「『日本と世界のクラフトマンシップを応援するスローファニチャーの会』の名誉会長職をお願いしたが、辞退のお返事をいただきました。業界随一の目利きと目される勝久会長なので、いつかは参加していただきたいという、思いは変わりません(代表発起員の一人である社長の大塚久美子の立場としての回答です)。上記のことは業界団体の個人としての活動の話で、会社の経営とはそもそも関係ありません」(広報室)
大塚家具のオフィスは一つのフロアに間仕切りを設けないオープンスペース。「のんびりとした人が多い」(大塚家具OB)と言われる社内で、一際元気な一角がある。2月に大塚家具への出資を決めた中国のマーケティング会社、ハイラインズから送り込まれてきた中国人たちだ。
中国市場向けに立ち上げたばかりのネット通販事業があっという間に会社を再建できるほど急拡大するかは別としても、「儲けてやるぞ」という活気がみなぎって、大塚家具社員の刺激になっているという。
勝久氏や勝之氏との和解よりも、外部の知恵やエネルギーを活用するのは一つの手だろう。
●リポート/山口義正(ジャーナリスト):1967年生まれ。愛知県出身。法政大学法学部卒。日本公社債研究所(現格付投資情報センター)アナリスト、日本経済新聞証券部記者などを経て、現在は経済ジャーナリスト。オリンパスの巨額粉飾事件をスクープし、著書『ザ・粉飾 暗闘オリンパス事件』(講談社+α文庫)にまとめた。
※週刊ポスト2019年6月14日号