年率で3~10%ぐらいの利回りに
ただ、やはり気になるのは「ちゃんとお金が増えるのか」ということ。ウェルスナビの2016年1月から2019年4月までの約3年間の運用実績を見ると、AIが判断する5段階のリスク許容度別の利回りは、リスクが最も低い「許容度1」でも9.1%、リスクが最も高い「許容度5」なら22.1%にもなる。仮に、最初に100万円、その後毎月3万円をリスク許容度5で運用した場合、投資元本217万円に対し、約3年後には265万円まで増える計算だ。今や1%にも満たない定期預金の利回りとは比べものにならない数字である。
「長期で運用する場合、実際には、この短期の数字よりも利回りは低めになるでしょう。取れるリスクの度合いにもよりますが、1年以上ロボアドを利用している人は、年率で大体3~10%程度の利回りになっているようです」
もし、毎月3万円、年率5%の利回りで30年間運用すれば、複利効果が発揮され、元本1080万円に対して2496万円も貯まる計算になる。老後資金としては充分だろう。
もう1つ気になるのが手数料だ。投資信託でも、購入する際には「購入時手数料」や「信託報酬(運用にかかるコスト)」などがかかる。
「ロボアド各社で多少の差はありますが、売買手数料なども含めて、手数料はおおよそ年率1%程度。昨今、日本の投資信託市場では、顧客獲得のために手数料の引き下げ競争が過熱しています。ロボアドは資産配分から売買まですべて“おまかせ”するため、そうした低い投資信託の手数料に比べると、若干高めにはなります」
実は、ロボアドには資産配分から売買まですべて任せる「一任タイプ(投資一任型)」のほか、おすすめの商品だけを教えてくれる「アドバイスタイプ」もある。このアドバイスタイプなら、売買は自分で行うため“おまかせ料”がかからず、手数料は一任タイプより安い。一任タイプで慣れてきたら、途中でアドバイスタイプに切り替えて運用するのも手だろう。
とはいえ、ロボアド市場でも、すでに手数料引き下げの波が起きており、テオはこの4月にも、利用状況に合わせて最大で0.65%まで手数料を下げる割引プランの提供を開始した。これに他社が追随する可能性もありそうだ。
ロボアドの始め方は簡単。各社ホームページやダウンロードしたスマホアプリからユーザー登録を行い、いくつかの質問に答えて自分に合った運用プランを設定する。氏名や住所などの個人情報を入力し、本人確認書類を提出すれば、口座開設完了だ。口座開設後は、投資した資金額の推移や運用のパフォーマンスなど、パソコンやスマホ上で把握できる。
精密に作られたAIとはいえ、投資において、「絶対」はない。だが、「自分に合った商品、運用は何か」という疑問に答えてくれ、これからの資産形成の有力な方法であることは間違いない。「年金不安」時代の強い味方になりそうだ。
※女性セブン2019年6月20日号