トランプ大統領との日米首脳会談が終わり、相場の次の政治的関心事は、7月の参議院選挙へと変わろうとしている。それを考慮したうえで、今夏の株式市場や為替相場はどのような動きとなると予想されるだろうか。カリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが解説する。
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5月末に、トランプ大統領が令和初の国賓として来日しました。都内では高速道路で交通規制がかかったりコインロッカーが利用できなくなったりと、厳重な警備体制が敷かれました。
その間、日米貿易交渉に関しても協議され、トランプ大統領は貿易交渉について「8月に発表がある。均衡のとれていない貿易の問題を迅速に解決したい」と述べています。これは7月に予定されている日本の参議院選挙を意識したうえでの発言と捉えられ、選挙が終わるまではとりあえず棚上げしておく、というスタンスで合意したということでしょう。とはいえ、選挙が終わってから日米貿易協定の詳しい協議が進行するとなると、慌ただしい夏になりそうです。8月はお盆休みなどもあり、関係者はゆっくりしたいでしょうが、そうはいかないかもしれません。
過去の例からも、国政選挙のような大規模な政治イベントがある場合、直前で日本株市場が大きく値崩れしたり、円相場が急激に円高・円安に振れることは少ないです。安倍政権は、株価の伸長とともに支持率を伸ばしてきた「株価連動内閣」という面もあるので、「低調な日本株市場」という印象を有権者に与えることで選挙を不利に働かせてしまうことは、避けたいところだと思われます。
今年の日経平均株価を振り返ると、21000円が節目となっている様子で、21000円を割れると下押しは止まり、反発するケースが多いです。おそらくその水準で日銀がETF(上場投資信託)の買い入れを行なっていると考えられ、マーケットでも21000円は重要なラインとして意識されています。さらに、そのすぐ下には20000円という大きな節目もあるので、直近での大幅な下落は想定しにくい状況です。
選挙まで株式市場が値崩れしないなら、ドル円相場も堅調に推移すると予想され、クロス円でも底堅い展開が考えられます。しかしトレーダーは、大きなイベントの前後には決して無理をしないようにすべきでしょう。資金管理を徹底しながら取引を行えば、市場から離脱するリスクを軽減できます。自分自身が最大の敵ということを自覚し、マーケットと対峙していくべきでしょう。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)