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参院選後に「年金受給68歳引き上げ」本格議論へ 生活費不足分は3000万円に

 さらに、社会保険労務士・蒲島竜也氏は「(引き上げは)68歳では終わらない」と断言する。

「財政審の議論を見ると68歳支給開始は既定路線と言える。その先に70歳支給開始の改悪も見えています」

 そうなると高齢世帯の生活費の不足額は「2000万円」では済まない。

 総務省の家計調査によると、年金以外の収入がない夫婦2人の高齢者世帯の平均収入は21万円。平均支出は約26.5万円だ。金融庁報告書はこの金額をもとに「毎月5.5万円」の赤字と計算している(30年間で赤字は2000万円)。

 しかし、年金支給開始が68歳になれば、65歳からの3年間は「年金空白期間」となり、毎月の支出約26.5万円はそのまま赤字となる。3年間で総額約950万円の生活費がさらに不足する。金融庁報告の2000万円と合わせ、計3000万円近くの不足が生じる計算だ。

 それだけではない。年金支給開始後も、経済状況に応じて年金給付水準を自動的に引き下げる“マクロ経済スライド”によって年金は毎年0.9%ずつ実質目減りしていくと考えられている。

 本誌は厚労省シミュレーションを参考に、年金改革で支給開始年齢が68歳→70歳へと段階的に引き上げられた場合、「100歳」までの年金総額がいくらになるかを生まれ年ごとに試算した(図参照)。

 その影響は、団塊世代などすでに年金受給している世代にも及ぶ。現在70歳(1949年生まれ)の世代が100歳まで年金を受給すると、マクロ経済スライドで本来もらえる金額より700万円減額される。

 来年から特別支給が始まる62歳(1957年生まれ)の世代は約1100万円減、そして年金支給開始年齢が引き上げられる世代は減額幅がさらに膨れあがっていく。「68歳支給」となる52歳(1967年生まれ)は2000万円減、「70歳受給開始」の48歳(1971年生まれ)の団塊ジュニア世代は約2400万円の減額という計算になる。

 現在の年金制度でも95歳までに2000万円足りないのに、そのうえ年金そのものが大きく減っていくのである。

※週刊ポスト2019年6月28日号

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