金融庁の「老後2000万円不足」報告書を巡って、6月16日、東京で「年金返せデモ」が行われた。SNSの呼びかけを中心に2000人(主催者発表)の有志が集まり、日比谷公園から銀座まで「年金返せ!」「年金制度を破壊するな!」と声を挙げながら行進した。
夏の参院選を前に、安倍政権は年金問題に揺れている。6月3日に公表された金融庁・金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」資料で、「不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる」と記載されている点が批判を浴びている。
「年金返せデモ」主催者は、今回のデモの意図を次のように語った。
「『老後の年金支給が減っていくから国民は自助してください』という報告書に対し、『保険料を徴収するなら制度に責任を持ってほしい』というデモです。ツイッターで呼びかけたところ2万リツイートされるほどの反応があって『年金をどうにかしてほしい』という思いの人がこんなたくさんいるんだなと知りました」
当日のデモには多数の老若男女が参加。話を聞くと、次のようなさまざまな声が聞かれ、年金問題への関心の高さがうかがえた。
「私はすでに年金をもらっているのですが、マクロ経済スライドによって毎年のように減っています。また、私の息子は40代で、子供たちの年金が極めて心配だから参加しました」(75歳・年金受給者)
「年金は学生納付特例制度を申請し、保険料の納付は猶予を受けています。よく、1990年代、2000年代生まれの人は2000万円以上の払い損になるという説も聞きます。年配の方の生活が苦しいのもわかっていますから年金を減らすのではなく、制度の構造自体を変えていかないと、少子高齢化が続く中で今のままでは保たないのではないかと思って参加しました」(22歳・大学生)