通常国会閉会後の記者会見で安倍晋三・首相はこう言い放った。「政策次第で年金を増やすことは十分可能だ」──。松下幸之助氏が聞いたら「やってみなはれ」と言うだろう。サントリーの鳥井信治郎氏ならこう返すかも知れない。「やらなわからしまへんで」と。
だが、国民にはもうわかっている。年金2000万円不足を隠す言い逃れに過ぎないことを。
政治家はカネが足りなくなると「改革」を唱え始める。安倍首相は何歳になっても働ける「エイジフリー社会」、「過労死ゼロの働き方改革」と耳当たりの良いスローガンを並べてきたが、真に受けると大変な目に遭う。
待ち受けているのは増税、年金減額、保険料アップと国民の老後資産が奪い取られる未来だからだ。
目前に迫ってきたのが10月の消費増税だ。政府は「ポイント5%還元制度」や「軽減税率」で国民の目を誤魔化そうとしているが、よく見ると増税されないはずの食料品の値上げが相次いでいる。この4月から6月にかけて大容量のペットボトル飲料が一斉に20円値上げされ、食品では6月出荷分からカップ麺、ポテトチップス、アイスなどの値上げが続いている。