動画や写真を残すのもおすすめだという。相続コーディネーターで「夢相続」代表を務める曽根恵子さんが話す。
「義父母の様子を動画に撮影し、親族間で共有することでどれだけ大変な状況か伝えられます。そのように、介護に費やした時間数では換算できない精神的苦痛や手間がかかっていることを知ってもらっておいた方がいい。親族にとっては、高齢の家族の様子を知る数少ない機会であり、安心する材料にもなります」
妻が請求できる「特別寄与料」の目安
しかし、努力を重ねても相続人との話し合いで折り合いがつかなければ、家庭裁判所に申し立てることができる。
特別寄与料を請求できるのは、相続発生から6か月以内、または、被相続人が亡くなってから1年以内と決まっているので、早めの対応が必要だ。
妻の介護の労力が認められた場合、実際にどのぐらいの金額がもらえるのだろうか。たとえば、妻が介護を続けてきた義父が亡くなり、2000万円の遺産があるとする。特別寄与料を請求し、200万円が認められた場合、相続人である長男(夫)と長女が受け取るはずだった遺産から、100万円が均等に差し引かれ、妻に支払われる仕組みだ。
「特別寄与料の算定方法はまだ正確に定まっていませんが、過去の例に照らすと『介護にかけた時間×都道府県が定めた最低賃金』で計算されたり、『介護のためにやめた仕事で本来得られていたはずの賃金』または、『ヘルパーを雇ったらいくらかかっていたか』などが考慮されて算定されると考えられます」(曽根さん)
たとえば、1日7時間、1年間を介護にあてた場合、最低賃金水準を時給850円とすると、7時間×850円×365日なので、217万1750円になる。
「実際には毎日の介護は認められないこともあり、200日分に換算されたとしたら119万円。これが10年続けば1190万円ですが、遺産そのものが少ない場合には、その金額でもらえる可能性は低いかもしれません」(橘さん)
※女性セブン2019年7月18日号