大学のレポート文章も「SNSでつぶやいている感覚に近い」
実際、こうした“改行しない”若者は増えているようだ。「教育現場でも実感する」と話すのは、大月短期大学兼任講師で心理学などを教える社会心理学者の川島真奈美氏だ。
最近、川島氏が授業でレポートの課題を出したところ、提出した78名の改行パターンの内訳を見ると、改行して段落をつけている(3名)、改行して段落なし(28名)、改行も段落もなし(12名)、一行空けて段落なし(2名)、箇条書き(33名)だったという。
「改行も段落もないと、当然ながら紙1枚に隙間なくびっしりと文章が書かれていることになる。全体的に句読点も少なく、非常に読みにくい。『である』『ですます』調も統一されておらず、話し言葉と書き言葉が混同していることもしばしば。文章もつながっているようでつながっていません。短文が連続している感じで、文章として成り立っていない学生もいます。しっかり書ける学生は学年で1人いるかどうかというレベルです」(川島氏。以下同)
さらに川島氏は続ける。
「文章はコミュニケーション。相手に読まれる前提がなく、どう思われるのかという認識が不足していると感じます。たとえるならSNSで勝手につぶやいている感覚に近い。読書量が圧倒的に不足していることも原因の一つではないでしょうか」
全国大学生活協同組合連合会の2018年の調査によれば、約半数の学生が1日の読書時間は「0」。ただ、若者の「活字離れ」は確かかもしれないが、同時に「スマホネイティブ」と呼ばれる世代でもある。SNSやネットの情報にアクセスしている分、むしろ文章に触れる機会は多いのでないだろうか。