住まい・不動産

定年後の田舎暮らし、余裕ある生活を送る人は都会に資産を持っていた

東京周辺とそれ以外では支出の差が大きい(地域別1か月あたりの消費支出)

東京周辺とそれ以外では支出の差が大きい(地域別1か月あたりの消費支出)

 年金だけでは老後資金が2000万円不足する──金融庁が6月に公表した報告書が波紋を呼んでいるが、「本当に大切なのは、2000万円という数字ではない」という指摘がある。ファイナンシャルプランナーの森田悦子さんはこう語る。

「金融庁の試算は、65才の夫と60才の妻の“平均的な生活費”が一般的な年金支給額(夫婦で21万円)を月5万円上回り、それが老後の30年間ずっと続くと2000万円くらい足りなくなるよ、というお話です。注目すべきなのは2000万円という数字ではなく、“毎月5万円の赤字”が積み上がるということ。この赤字を減らせば、老後に必要とされる金額も減っていきます」(森田さん)

 つまり、2000万円の貯蓄以上に毎月5万円とされる赤字を減らすため「生活のダウンサイジング」をすることが重要ということだ。

 定年退職後、「夫婦でゆっくり田舎暮らし」を夢見ている人もいるだろう。畑で野菜を育て、半ば自給自足のような生活をすれば、より「ダウンサイジング」が実現すると考えていないだろうか。

 東京23区に住んでいる場合、確かに、移住することでコストカットになる地域もある。しかし、別掲の表のように、安易に移住すると逆にお金がかかる恐れもある。20年以上の移住歴を持つ移住アドバイザーの清泉亮さんはこう語る。

「過疎地へ行くほど、店が極端に少なくなるため物価が高くなる。自家用車が欠かせず、ガソリン代の負担も厳しい。もし、移住するのならば、本当の田舎よりも、県庁所在地のある都市の外れあたりの方が、東京よりも物価が安い可能性が高い。公共交通機関や病院といったインフラも整備されているので、便利で住みやすいでしょう」

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