また日本には高額療養費制度があり、医療費が高額になっても、一般的な人なら9万円程度の自己負担で済み、あとは健康保険が払ってくれる制度もある。
「62才の時に加入・更新した医療保険をやめれば、年間30万円浮くとの試算もあります」(森田さん)
今や日常生活に欠かせなくなった携帯電話も、例えば同じ3ギガでも、UQモバイルはドコモより月4000円も安い。
「昔は『一家に1台』が当たり前だった固定電話も見直したい。携帯電話があれば間に合いますし、固定電話があると振り込め詐欺や悪質な勧誘などのリスクが増します。NTTを利用している場合、解約すれば月々の基本料金1700円を丸々節約できます」(森田さん)
支出の見直しばかりではなく、幸せな老後を送るためには、安心できる人がそばにいることも肝要だ。大阪府守口市の公団団地に暮らす野澤寿美子さん(86才・仮名)が語る。
「私たち夫婦は趣味がないのですが、近所に住む娘たちが年に1~2回はどこかに連れて行ってくれます。今年1月には夫の卒寿記念で、滋賀県長浜のホテルでお祝いしてくれました。
老後に2000万円必要という報道には、“そんなにいるもんかいな!?”と驚きました。私たちは国民年金だけで充分楽しみながら生きていますから、2000万円もあれば、娘たちにあげたい。このまま家族が健康に暮らせれば、ほかに望みはありません」
老後に息子や娘がそばにいれば、買い物や病院の送り迎えなどもしてくれるし、万が一の時も安心できる。前出の塚崎さんは、一歩進んで「子供世帯との同居」をすすめる。
「子供世帯と一緒に暮らせば食事や光熱費などのコストを圧縮でき、精神的な支えにもなります。現役世代なら、まずは自分の親を引き取って、親の年金と夫の稼ぎの両方で暮らす姿を子供に見せておく。それを見ていた子供たちは、将来の同居をスムーズに受け入れてくれるかもしれません」