人材不足が深刻化する中、今年4月から外国人労働者の受け入れが拡大された。とはいえ、労働先としてどの国を選ぶかは外国人の意志によるところが大きい。はたして日本は労働環境として魅力的な国に映っているのか。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)が5月に発表した「世界競争力ランキング2019」によると、63の国・地域で日本は前年の25位から30位へと後退した。「生産性と効率性」「経営慣行」「姿勢と価値観」といった領域の低さが原因だった。日本は外国人にとっては労働環境として魅力的とは言い難いようだ。
「私にとって日本は観光で行きたい国であって、住みたい・働きたい国ではありません。本当に好きになっても憧れのままが一番いい。嫌いになりたくないから」
そう日本について語るのは、日本語検定1級の合格者で、日本在住経験もある30代のタイ人女性・Aさん。親日国として知られるタイでは、日本語が話せると日系企業の就職などに有利に働くことから熱心に学ぶ人が多いが、純粋に日本のアニメが好きで日本語を学び始める人も大勢いる。
Aさんは母親が日本人と再婚したのを機に来日。「日本のアニメと漫画が大好き」なことから、日本語を学び始めた一人だ。日本文化の魅力を楽しそうに語るAさんだが、実際に日本で働いてみた経験から、労働環境の話になると顔を曇らせる。
「日本の会社は、すべてに融通が利かない印象でした。効率が悪いことに意見なんてしたらもう大変。『これは決まりだから、従ってもらわないと困る』と怒られたこともありました。さっさと帰りたいからその分成果は出していたのに、定時に帰ろうとすると上司から『他にもやることあるんじゃないの?』と、文句を言われたこともあります」(以下、Aさん)