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キャリア

あるタイ人女性が「大好きな国だけど日本で働きたくない」と嘆くワケ

 働き方改革を進める日本では、Aさんが指摘するような長時間労働の常態化や生産性の低さは確かに課題だ。だが、日本企業が抱える問題はそれだけではないという。

 Aさんによると、タイでは企業にもよるが、年6日以上付与される通常の有給休暇以外にも、有給で病症休暇(Sick leave)30日、公的機関の手続きをするためのビジネス休暇(Business leave)3日などがある。

「日本人は、体調不良で辛くても頑張って出勤する。有給休暇も理由が必要で、断られることもあるといいます。意味がわからない。タイは家族行事で休めるし、子どもに熱が出たなら帰った方がいいと言われます。そういう意味で、日本は冷たい」

結婚や出産で出世が阻まれる“男性優位”の社会構造

 Aさんは、日本語を勉強すればするほど、日本文化を知るようになった。そして日本で働くようになって、憧れていた日本がだんだん“嫌い”になっていったと話す。日本人の、建前と本音を分けて“空気を読む”という感覚も理解しづらく、「それがわからないと排除されてしまう」と恐怖を抱くようになったという。特にAさんを苦しめたのは、日本特有の「お金の価値観」と「自己犠牲の精神」だった。

「働くのはお金を稼ぐため。でもなぜ、お金のために働くというと、『卑しい』とみられるのでしょうか? お金があるから、幸せな生活が送れるんですよね。すべてはお金のためで、自分や家族を犠牲にするためではありません。日本はお金の話題をするのがタブーで、給与の交渉もできない変な国です。

 しかも、日本人は辛さや痛みを我慢することを美徳とします。普通は会社に不満を持ったら転職して当たり前。仕事がどうなるんだとか、気にする必要なんてない。悪いのは会社で、自分が悪いと思うべきではありません」

 また、Aさんが日本に来たとき、大きな違和感を抱いたのが、“男性優位”の社会構造だ。

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