九州北部を記録的な大雨が襲った7月21日、参議院選挙の投開票が行われた。投票率は48.8%。24年ぶりに50%を下回り、戦後2番目の低さとなった。
「投票率が下がれば下がるほど、組織票を持つ自民党に有利でした。実際、自民・公明で改選議席の過半数を上回る71議席を確保し、与党の完勝に終わりました。自民党は『消費増税』を公約にし、野党は増税反対を打ち出しました。選挙では結果的に、安倍政権の増税路線が“信任”されたわけで、これで10月1日に消費税が10%の大台へと増税されることが決定的になりました」(政治ジャーナリスト)
あと2か月しかない。8%から10%への増税が景気に与える影響は大きい。第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミストの永濱利廣さんが警告する。
「今は増税するにはタイミングが悪い。米中貿易摩擦の影響で世界経済は先行き不透明ですし、アメリカの利下げで円高が進んで日本経済にもブレーキがかかりそうです。20年の五輪特需もそろそろピークアウトします。今回の消費増税が引き金になり、さらに景気が落ち込む可能性が高い」
永濱さんの試算によると、税率が10%になると、平均的な家計の負担は、年間4.4万円増えるという。世帯主の年齢層別でいうと、50代の負担増が年間5.5万円と最も大きい。過去の増税局面でも、深刻な景気悪化を招いてきた。
「消費増税は、過去に2回実施されています。3%から5%に上がった1997年は、アジア各国の通貨が急激に下落する『アジア通貨危機』に加え、山一證券をはじめ大手金融機関の破綻が相次ぎ、金融危機に陥りました。そこに、増税が影響し、一気に消費が冷え込み、物価や所得などすべてが下落し悪循環に陥る『デフレ不況』に突入する引き金になりました。
5%から8%に上がった2014年は、1度目の経験を教訓に、給付金や減税など対策が打たれましたが、やはり消費は大きく落ち込みました」(永濱さん)
今回も同様、景気悪化は避けられない。
※女性セブン2019年8月8日号