10月1日より、消費税が10%の大台へと増税されることが決定的になった。「増税前にいろいろ買っておかないと!」という人も多いが、焦りは禁物。増税のたびにスーパーや量販店などが実施する大規模なセールを活用しない手はない。
前々回となる1997年の増税時は、税率引き上げ後の消費低迷を打開しようと、1998年11月には大手スーパーのイトーヨーカドーをはじめ、ジャスコ(現イオン)や西友などが「5%還元セール」を実施。3%から5%の増税に対して5%引きという増税幅以上の値引きが注目を集め、各社とも売り上げを伸ばした。京都府在住の主婦・谷口さん(仮名)が話す。
「当時、『増税前より安くなる今しかこの価格で買えない』と息巻いて、ブランドバッグや高級羽毛布団などを買った記憶があります。社会全体がそういう空気で、皆ためらうことなく、高額な買い物をしていました」
1997年の増税時だけでなく、2014年の増税時も、企業は同様のセールを実施。イトーヨーカドーは増税直前の3月末にほとんど全品を5%引きにする「ハッピーデー」を3日間連続で開催し、イオンも3月下旬、生活必需品を5~20%引きするセールを5日間実施した。ファイナンシャルプランナーの大石泉さんが話す。
「そうした大セールの裏で、大手スーパーなどが価格交渉力の弱い中小の卸業者などに、納入価格の値下げを強要する行為が発覚し問題になりました。政府は、増税の趣旨に反した買いたたき行為や、『消費税還元』といった直接的な表現も禁止しました」