ある調査によると、前回の増税時(2014年)よりも、今年10月に予定される「消費税10%」の方が、家計への負担を感じる人が約7割に上るという。「増税前にいろいろ買っておかないと!」という人も多いが、焦りは禁物。むしろ「増税後」に買った方がお得なものも少なくない。
10月に予定される増税と、過去の増税との大きな違いは、増税に合わせて、はじめて導入される「軽減税率」だ。これは、一部の生活必需品の税率は引き上げず、現状の8%のまま据え置く制度のこと。
しかし、8%か10%か、その線引きは複雑怪奇。状況が変われば税率も変わる曖昧さで、まるで“ひっかけ問題”のようなのだ。軽減税率が適用される商品を把握して、増税前に焦って購入しないよう注意したい。
とはいえ、軽減税率の適用外で10%にアップする商品も、急いで購入してはいけない。前回増税時は、増税前に日持ちするお米や冷凍食品、日用品などを大量に買いだめする人が多かった。だが、結局は賞味期限が過ぎたりして使いきれず捨てた人も少なくなかったという。節約アドバイザーの丸山晴美さんが話す。
「増税前に買いだめするなら、たとえば子供用や介護用のおむつ、ペット用品など、日持ちして、かつ日頃使う量が多いものにするとよいでしょう」
高額な「家電」も、焦って購入しがちだ。前回の増税直前の2014年1~3月は、駆け込みで家電を買い求める客が殺到。内閣府によると、テレビやエアコン、冷蔵庫などの家電主要5品目の量販店販売金額は、同年2月が前年同月比40%増、3月は同92%増を記録した。だがその反動で、増税後は消費が低迷した。第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミストの永濱利廣さんが話す。
「景気悪化に伴って在庫がだぶつきました。特にテレビやDVDレコーダーなどの黒物家電はセールが実施され、価格が増税幅以上に安くなるものも多かった」(永濱さん)