中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「お通し不要論者」の私が鰻専門店のサービス料には理解を示すワケ

 それくらい鰻が好きなのですが、自分がもっともよく行く店の鰻重の値段が3700円でここ数年間据え置きになっています。元々行っていた鰻屋は3000円台後半だったのがいつしか4200円になり、今や4000円台後半に。さらにサービス料が10%もあるというのに、調理場の料理人の態度がよくなかったので、味は美味しかったのですが、もう行くことはなくなりました。今行く店はお通し代が約500円つき、サービス料が5%付きます。この店は35年程前に親に連れて行ってもらっていたことがある店なのですが、ここ数年、時々行くようになりました。

 鰻の価格の高騰を受けても、鰻重は3700円で据え置き。店主も女将さんもアルバイトの店員も皆感じが良いです。それでいて鰻の味も最高。この「3700円」という価格には「4000円台になったらお客さんに申し訳ないな……でも、本当はキツイんだよね……」という気持ちが含まれているように思えます。

 だからこそ、「お通し代」「サービス料」で少し売り上げを増やし、せめて鰻重の代金は変えないでおこうと考えているのかもしれません。支払う総額は変わらないのかもしれませんが、今や貴重品である鰻を食べるのであれば、こうした料金も込みで日本料理の重要な文化の一つである鰻を守っていただければ、と思います。

 昨今、外国人が「お通し・突き出し」を「頼んでないぞ!」と文句をつける、という記事もよく見かけます。彼らの気持ちはよく分かりますし、私も同感ですが、こと鰻についてはその希少性が分かるだけに、店側の気持ちに寄り添いたいとつくづく思います。鰻に関しては「お通し・突き出し」「サービス料」には賛成です。

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