同じような生活をしていても、幸せな老後を迎えられるひとと、悲惨な結末を迎えるひとに分断されている。一握りの「上級高齢者」だけが幸せな老後を掴めるという現実を指摘するのは、新著『上級国民/下級国民』が話題の作家の橘玲氏だ。
橘氏によると、「『老後のために2000万円なんて貯められるわけがない』という批判は誤りだ」という。現実に2000万円以上の金融資産を保有する高齢者が3割いるのだから「不可能と決めつけることはできない」というのだ。それでは、残された7割はどうすればいいのだろうか。橘氏が提言する。
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「老後資金2000万円不足問題」の本質は、老後が長すぎることにある。20歳から60歳まで40年間、サラリーマンの夫が年金保険料を納めただけで、夫婦が100歳まで、2人合わせて計80年間安心して生きていけるなどという法外な話があるはずはない。
だったらどうすればいいのか。唯一の答えは「老後を短くする」ことだ。60歳の定年時に貯金がなくても、80歳まで働けば「老後」は40年から20年に半分になる。生涯現役なら「老後問題」そのものが消滅する。
長く働くのに必須なのは、健康でいることだ。学歴と健康が相関するというデータはたくさんある。健康維持への関心が高く、健康診断も毎年受けているからだとされている。
学歴が高いひとは専門をもっていて、定年後も仕事を続けやすい。それに対して会社の看板に依存してきたサラリーマンは、定年で会社と縁が切れたとたんに路頭に迷ってしまう。