食物繊維を摂取できる食材は
同調査では、慢性便秘症の人とほかの疾患の人と比較し、どの程度、健康関連のQOLと労働生産性に差があるのかも調べている。労働生産性の損失が大きいのは、過敏性腸症候群(IBS)、慢性便秘症、胃食道逆流症(GRED)、2型糖尿病の順で、これを日本人の平均賃金を考慮して換算すると、IBSが年間約128万円、慢性便秘症は約122万円、GERDは107万円、2型糖尿病は81万円の損失になる、という。
慢性便秘症はこの中で2番目に損失が大きい病気であり、便秘が予想以上にQOLに悪影響を与えていることがわかるだろう。病気がそのまま所得差にもつながりかねないのだ。
三輪教授は「便秘体質だからと放置せず、まずは専門医を受診し、自分が便秘症であるかどうかを知り適切な治療を行うことが大切です」と語り、その対策について、以下のようにアドバイスする。
「便秘対策は、生活改善などの日常対策がとても大切です。その日常対策は、【1】水分摂取、【2】食物繊維の摂取、【3】運動の3つが重要です。特に脱水にならないこと、適度の運動を行うことは基本ですが、食物繊維の摂取は対策としてとても重要です。食物繊維には、お腹の調子を整える水溶性と、便のカサを増してお通じを助ける不溶性のものがあります。
また、近年では各食材の食物繊維の含量や保水力の研究が進んできており、なかでもキウイフルーツの食物繊維は保水力が高いという科学論文が発表されています。つまり、キウイの食物繊維はほかと比較してより膨張し保水力が高いため、より大きく柔らかい便を作り出してスムーズな排便につながるのだと思います」
具体的には、1日にキウイフルーツ2個を目安に食事に取り入れることが便秘対策につながるという。