マダイと謳いながらアフリカ原産の淡水魚『ティラピア』を使ったり、江戸前アナゴとして『マルアナゴ』というウミヘビ科の魚を出す店もありました。同様に赤貝として『サルボウ貝』を、アワビは『トコブシ』と、“モドキネタ”が当たり前。各社、切り身にした際の見た目が似ている魚や、味の似た安いネタを世界中で探していました」
だがエスカレートする状況を受け、2003年に水産庁が「魚介類の名称のガイドライン」の運用を開始。すなわち、紛らわしい呼び方を事実上禁じることになったのだ。代用魚の使用を指摘する報道も増え、“モドキネタ”は徐々に姿を消していく。
「BSE問題や食肉偽装問題なども重なり、食の安全に関心が高まった時期でもありました。なかには1億円以上を投じて“真正のネタ”に刷新、“モドキ”ではないことをアピールした大手回転ずしチェーンもありました。現在では、あからさまな代用魚使用は一掃された」(前出・吾妻さん)
※女性セブン2019年8月22・29日号