中国の7月貿易収支で輸出が予想外に増加し、主要国での長期金利低下が一服したことを受け、8日のNYダウは371.12ドル高と反発した。この流れを好感して9日の日経平均は続伸した。朝方寄り付き前に発表された4-6月期GDP(国内総生産)速報値が市場予想を上回ったことも相場の下支えとなった。また、通信キャリアのソフトバンク<9434>が、昨年12月のIPO後で初めて公募価格を回復したことも話題となった。なお、9日はSQ日にあたり、8月限日経平均SQ(特別清算指数)値は、20855.99円だった。
今週の日経平均は陰の極を脱してもみあいに転じることが期待される。日経平均は9日にかけて続伸したものの、7日にかけての4日続落の下げ幅1024.43円の20%も戻っていない。通商問題を巡る米中の応酬によって、世界経済減速への懸念と懸念後退が交錯は今後も継続する。そこに米財務省による中国の為替操作国認定に伴う中国人民元動向が新たなネガティブ要因に加わった。目先は一巡したものの各国中央銀行の相次ぐ利下げもネガティブ要因だ。
14日には中国7月の小売売上高、15日に米7月の小売売上高と主要経済指標の発表が予定されており、薄商いの中を先物取引で相場が大きく揺さぶられる懸念もある。懸念材料が多い中で、日米貿易交渉についてはノイズが聞こえてこないことはプラス要素だ。事務レベルの協議が13日、14日とワシントンで開かれることが9日に決まった。閣僚協議は8月中が予定されているが、24日からはG7サミット(先進7カ国首脳会議)が控えていることもあり、協議の進展は安心材料の一つではある。
一方、カレンダー的には3連休明けの4営業日取引の週となり社会一般的にも「盆休み」ムードが支配的な週でもある。13日、14日の決算発表は大型株がほぼ一巡しており中小型株が主体となる。15日からの週後半は企業サイドからの発表も限られてくることから手掛かり難の物色展開となることが予想される。
テクニカル的に日経平均は、9日のリバウンドで5日移動平均線を7月30日以来上回った。5日移動平均線を回復してきたことで、一気に20000円大台割れの懸念は後退している。ただし、まだ5日移動平均線は鋭角的な下げトレンドの状態であり基調陽転とも言えない。20400円から20800円をあたりの往来相場を継続する中で、方向性を探る事になりそうだ。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、12日は振替休日で東京市場は休場、13日に7月国内企業物価指数、6月第三次産業活動指数、14日に6月機械受注、決算発表一巡が予定されている。
一方、米国など海外経済関連の主要スケジュールは、12日に米7月財政収支、13日に米7月消費者物価、14日に中国7月都市部固定資産投資、中国7月工業生産、中国7月小売売上高、ユーロ圏4-6月期GDP、米7月輸出入物価、15日に米8月NY連銀製造業景気指数、米8月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米7月小売売上高、米7月鉱工業生産・設備稼働率、米8月NAHB住宅市場指数、米6月企業在庫、16日に米7月住宅着工件数、米7月建設許可件数が予定されている。