それでも、そのポイントは代金の一部に使えます。ポイントは電磁的に記録され、契約の定めに従って金銭債務の支払いに使える電子情報であり、発行会社が通用を保証した一種の企業通貨で、金銭債務の履行を要求できます。電子マネーに類似していますから、相続の対象になりそうです。
ただ、ポイントも発行会社の制度設計によりさまざま。例えば、ある航空会社の規約では、会員の死亡時に法定相続人は「会員が取得していたショッピングポイントの譲渡を受けること」ができるとしています。死亡会員は譲渡できないため、不自然ではありますが、相続と表現することを避けたのでしょう。この規約では、死亡後6か月以内に手続きをしないと、権利は消滅することになっています。不当なようですが、契約上、そのような権利として成立しているのです。
【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年9月6日号