現役世代が負担できる保険料には限界があり、33年後に年金積立金がゼロになった途端、年金の大幅カットを迫られる。
財政検証の試算によると、夫婦の年金額は現在の月22万円からそのとき約13万5000円程度に下がる。
国民から長期にわたって、多くの保険料を取り立てる
厚労省はこれから始まる年金改正で厚生年金の加入義務を学生や短期労働者にも拡大して加入者を一挙に「1050万人」増やし、月給5万8000円以上あれば容赦なく保険料を取り立てる。
さらに保険料の支払期間を国民年金は45年間(20~65歳)、厚生年金は最長55年間(20~75歳)に延長する。いずれも財政検証に書かれているオプションだ。
年金積立金を食いつぶし、「完全賦課方式」に移行して年金クラッシュ(大幅引き下げ)が起きるのに備えて、今のうちから加入者を集められるだけ集め、保険料を広く深く取る態勢を整えようとしているのは明らかだ。
受給開始年齢の繰り下げなどで「年金が増える」という口車に乗ると、払うだけ払わされた挙げ句、将来、積立金が尽きた時点で、「ハイ、これからは年金は半分しか払えません」と、あっさりと見捨てられる可能性が高いのである。
※週刊ポスト2019年9月20・27日号