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政府の年金制度チェック「財政検証」に隠されたウソ

「所得代替率」はグングン下がっていく

「所得代替率」はグングン下がっていく

 5年に1度、公的年金制度の“定期健診”として行われる「財政検証」。本来なら6月初めに厚労省が公表するはずだったが、今年は約3か月も遅れて、8月27日に公表された。

 背景には、政治的な思惑が見え隠れする。「年金博士」として知られる、ブレインコンサルティングオフィスの北村庄吾さん(社会保険労務士)が話す。

「今年6月、“年金だけでは老後資金は2000万円不足する”という金融庁の報告書が明らかになり、一気に年金不安が広がり、批判が相次ぎました。7月の参院選を控え、政府は年金問題が争点化することを避けるため、公表を遅らせたのでしょう。財政検証でよい結果が出ることなどありえませんでしたから」

 現役世代が受給(高齢者)世代を支える「世代間扶養」の仕組みである年金制度はもう破綻寸前だ。

 1960年代に11人で1人を支えていた年金制度は、今や2人で1人、将来的には1.3人で1人を支えるという。若者の貧困が社会問題化する時代に、さすがにそれは明らかに無理だ。ところが、根本匠・厚労相(当時)はこう胸を張った。

「経済成長と労働参加が進むケースでは、所得代替率50%以上を確保できることが確認された。(年金制度は)おおむね100年、持続可能になる」

 いや、今の年金システムで、そんな“バラ色の未来”があるはずないことなど、子供でもわかることだ。政治家と役人は「年金崩壊」の責任逃れのために、財政検証に大きな嘘を紛れ込ませている──。

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