だが、10兆円も増税したのに、国の社会保障関係費(予算)は2013年度の約29兆円から2018年度は33兆円と年4兆円しか増えていない。
かわりに使われたのが「国土強靭化」の公共事業や、TPP対策費だ。公共事業では巨大地震に備えるため、津波などの深刻な被害が予想される静岡県や高知県などの沿岸地域に、海抜10メートルに盛り土した「平成の命山」と呼ばれる円墳のような避難場所や津波避難タワーなどの施設が次々に建設され、さらに台風被害が続いた2018年からは3年間で7兆円の国土強靭化の緊急対策予算が組まれた。
TPP合意は専門家から「農業への影響はない」と指摘されたが、これも政府は2年間にわたって補正予算で総額約6000億円の緊急対策を組み、農業土木事業や補助金をバラ撒いた。
※週刊ポスト2019年10月4日号