安倍首相は日米首脳会談のたびに米国から大きな買い物をしてきた。増税で税収が増えると特に気前が良くなった。
このイージス・アショアはその一つだ。2017年の日米首脳会談をきっかけに浮上、政府は急遽、配備を決定した。防衛省は当初、米国からのレーダーシステムの取得費、維持費など2か所で4500億円と見積もっていたが、施設の建設費や迎撃ミサイルを合わせると6000億円にのぼるという試算もある。
昨年6月の日米首脳会談ではもっと巨額の買い物をした。
「安倍首相がつい先ほど、数十億ドルもの戦闘機や農産物などあらゆる製品を購入すると言った」
トランプ大統領は首脳会談後の共同記者会見の冒頭、上機嫌でそう語ったが、ほどなく、日本政府はF35戦闘機を105機追加購入する方針を決定した。1兆円を超える商談である。イージス・アショアも105機のF35の購入も、わが国の防衛力整備を定めた防衛大綱や中期防衛計画では調達する予定ではなかったものだ。
アベノミクス増税後、いかに米国からの買い物(防衛調達)が増えたかを示す統計がある。
防衛予算の中で「FMS」(対外有償軍事援助)と呼ばれる防衛装備の購入費だ。日本がオスプレイや水陸両用車、ミサイル、戦闘機などを米国の軍需産業から購入するのではなく、米国政府から直接、有償で調達するやり方だ。FMSとは米国側から見た同盟国への“軍事援助”という意味だが、価格は米国の言いなりで、しかも“前払い”(最長5年ローン可)が原則となっている。
防衛省のFMS予算は2013年度は1179億円だったが、消費増税が行なわれた2014年度に1906億円に増え、2019年度予算は7013億円に達した。
FMSの残債など防衛費の「後年度負担」(借金)は5兆円を超え、年間の防衛予算より多くなっている。