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ロスジェネ世代の貧困事情、40代ゲイ男性・ダイスケさんの場合

 古着が好きでよく買いに行く。オシャレな見た目で、そこそこモテるようだ。部屋の中もよく整理されていた。

「古い家のわりには小ぎれいでしょ? 家で友だちと飲むこともよくあるからね」

 そう言いながら、少し照れたように自分の坊主頭をなで回した。頭は自分で刈っているらしい。

 部屋にはテレビと大きめのコンポが1台ずつ。電気は床置きの間接照明のみだ。ユニットバスではシャワーを浴びる程度で、湯船に浸かりたいときは銭湯に行く。ひと口の電熱線コンロしかないので、自炊はあまりせず、夕食は牛丼屋やコンビニで買っている。

 台所に、巨大なプラスチックの容器が積まれていた。

「輸入ものの安いプロテイン。5kgで1万円弱」

 体はかなりデカい。トレーナーの上からでも筋肉の太さがわかるほどだ。ジムに行くのが日課で、用事がない限りは毎日足を向ける。東京都内に複数ある、月額1万円弱の24時間ジムだ。ほかに趣味もないし、やることもないから、と力なく笑った。

 ダイスケさんは、就職氷河期真っただ中に大学を卒業し、就職戦線で「敗北」して正社員になることができなかった。派遣社員や契約社員をわたり歩いて、気づけば40代になっていた。30代まではそれでもいくつか正社員の口を探していたが、いまや諦めの言葉ばかりが脳裏をかすめている。

 いまは、コールセンターの契約社員として雇われている。給料は手取りで17万円ほど、ボーナスはない。

「ぜいたくはできないけど、とりあえず生活には困っていないです」

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