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ロスジェネ世代の貧困事情、40代ゲイ男性・ダイスケさんの場合

「友だちの誘いは断りたくない」

 職場の同僚は20代の若者や女性が多く、話も合わないので、特に仲良くはしていない。

 40代の男が独身だと、ゲイなのかと執拗に勘ぐってくる人もいて面倒くさい。必要以上に体を鍛えていることを、ネタにされるのも嫌だ。そうした事情もあって、事務的な会話以外はしないようにしていた。

 ジムに行っても誰ともしゃべらず、黙々とトレーニングする。ゲイの出会い系アプリにメッセージが来て、帰りがけに会うこともあるが、ほとんど「処理」感覚だ。

 もう何年も恋人はいない。そもそも恋愛したいという気持ちになれない。だから、毎日のようにメールや電話のやり取りをする相手はいない。

「年下が好きなんだけど、ほかの40代より稼いでいないし、恋人との時間ってなんだかんだお金かかるから」

 そう言いながら、出会い系アプリの通知を消した。

 ストレスが溜まると、くだらない話をしたくなる。そういう時は、同じくゲイの友だちと居酒屋に飲みに行く。だいたい週1回程度だ。

「同世代でつるみます。そのせいかわからないけど、学生が行くような安い居酒屋にはみんな行かないんですよね。1人5000円はします」

 そのあとはもれなくゲイバーに寄る。そんなこんなで、ひと晩で1万円使ってしまうこともあるようだ。

「ほんとにつまんないことだと思うんですけど、安いところに行こうよとか、今日はバーに行かないで帰るとか、言いづらいんですよね。見栄っていうか。みんなと同じ土俵で生きている感覚でいたいっていうか」

 今月は少し金銭的に厳しいと感じても、誘われたら断れない。断りたくない。生活が苦しくなることはもちろんわかっている。ゲイバーで飲んでいるときは楽しいが、生産的な時間ではない。翌日、むなしさが襲ってくる時がある。

「居酒屋で自分がクレジットカード払いにして、その場をしのぐこともあります。その月は生活費が赤字ですよね」

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