日本では10月1日より、消費税が8%から10%へと引き上げられた。名目GDPに占める民間最終消費支出は、2019年4-6月期(2次速報時点)で55%を占めている。消費が落ち込めば日本経済全体に与える影響は大きい。
国土交通省観光庁の調べによれば、2019年4-6月期の訪日外国人旅行消費額(1次速報)は1兆2810億円で、名目GDPからすれば0.9%程度の額ではあるが、伸び率をみると13.0%ある。この間の名目GDPの伸び率が1.3%しかないことを考慮すると、訪日外国人旅行消費額の動向は日本経済の成長率に十分影響を与えている。
この内、中国は4706億円で全体の36.7%を占めトップであり、伸び率は全体の13.0%を大幅に上回る26.1%に達している。マスコミが中国のインバウンド消費について、盛んに報道するのは、このように日本経済への影響が十分大きいからである。
ちなみに、韓国は1227億円で国別シェアは9.6%、台湾についで第3位ではあるが、中国と比べると4分の1強に過ぎない。たとえば、直近のデータを使って推計すれば、韓国からの旅行客が激減し、その消費額が半減したとしても、中国からの旅行客が増え、その消費額が13%増えれば、それでマイナス分を補うことができるのである。
日本の消費税増税によって、中国からの旅行客によるインバウンド消費が影響を受けるとは思わないが、人民元安や、足元での景気減速による影響はあるかもしれない。その点はやや気がかりではある。
香港、台湾への旅行が減り日本への旅行者増加
今年も国慶節休暇がやってきた。中国共産党が国家成立を宣言した1949年10月1日を記念して、毎年10月1日から1週間程度が国家の休日となるのだが、今年は10月1日から7日までが国家が定める休日となり、この間、株式市場も休場となる。9月30日に休暇を取っていれば、28日から10月7日まで、10日間の長期休暇となるので、今年は海外旅行を希望する人にとってはありがたい日程となっている。