投資

これから注目の有力テーマは「日本の製造業の覚醒」だ

今、上がっている株が今後も上がり続けるわけではない。歴戦のファンドマネージャーは、常に「一歩先」を見据えた投資戦略を持って市場に臨んでいる。

これまで国内小型株中心の運用で、「リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2016」「R&Iファンド大賞2015」など、数々のファンド賞を受賞している「ひふみ投信」の運用責任者・藤野英人氏も、その一人。ここまで沸騰を続けてきたテーマ株への投資に警鐘を鳴らす一方で、今後の展開に期待の持てる新たなテーマにも注目する。

カリスマ・ファンドマネージャーは、今後の相場をどう読み、どう挑むのか。藤野氏が新たな視点で考える投資術を指南する。

景気回復に伴い大型株の反撃シナリオも

日本の景気の先行きを懸念する声は多いが、現在の景気悪化は構造的というよりも循環的なものである。景気には波があり、すでに3四半期連続でマイナス成長といった時間的な調整を経てきた以上、ここからは悪材料に目を凝らすよりも、今後の景気回復を視野に入れておく必要があるだろう。そう考えていくと、秋口にも景気は底を打って反転する可能性がある、というのが私の見方だ。

そして株価は景気に先行して動くため、それを先取りする格好で株価も底打ちして反転する可能性は高い。この先、弱気な見方を維持することはむしろ危険かもしれない。

これまでの相場は主役交代が相次ぎ、昨年前半までは大型株、その後はテーマ性を持った中小型株に資金が向かい、4月には東証マザーズ指数が9年3か月ぶりの高値をつけるなど大きく上昇した。

私が運用責任者を務める「ひふみ投信」も、自動車や電機などの輸出関連やマイナス金利の影響を受ける銀行株などの大型株をほとんど持たず、中小型株投資を進めた結果、この1年でTOPIX(東証株価指数)を20%程度上回る成績を収めることができた。

しかし、もう一歩先まで見据えると、中小型株一辺倒で利益を上げられる時期が今後もずっと続くとは考えにくい。市場は常に変化しており、それに対応していくことが必要となる。

それでは、どんな展開が予想されるのか。足元では円高によって大型株の業績が振るわず、株価も冴えない展開が続いてきた。それが今後、景気回復を前提とした相場展開となった場合、ここまで下げてきたところからの反発力を考えると、いよいよ大型株の反撃が始まるというシナリオも想定しておく必要があるだろう。

そして大型株が相場の主役になることで日経平均株価も上昇し、昨年6月の高値を抜いて2万1000円を超えてくるような展開まで予想される。

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