過熱した銘柄への投資で高値摑みになる恐れも
大型株の反転というシナリオまで視野に入れると、気になるのは、これまで相場の主役を演じてきたテーマ性を持った中小型株の動向だろう。
もちろん、金融とITの融合である「フィンテック」をはじめ「VR(仮想現実)・AR(拡張現実)」「バイオ」「自動運転」「ドローン」といったテーマが今後も有望であることに変わりはない。
だが、市場はそう単純に動くものでもない。もし大型株相場がスタートすれば、機動力の高い専業の個人投資家などが中小型株から大型株へと資金をシフトする動きを高めるのは必至だ。
そうなると、これまでのように有望テーマに沿った中小型株が次々と物色されて、なんでも上がるわけではなくなる。東証マザーズ指数が急落するリスクも念頭に置きつつ、なかでも業績の伸び以上に株価が過熱しているような銘柄への投資は注意が必要となるだろう。
成長性にばかり目を奪われて投資すれば、結果的に高値摑みになる恐れもあるだろうし、十分なリターンを得た後もさらに欲を出してしまうと、大きな痛手を負うかもしれない。
いずれにしろ、これまで相対的にパフォーマンスのよかった中小型テーマ株は、少なくとも一部を売って利益確定しておく。そして今後上昇が見込めそうな大型株にも一部資金を振り向けておくことも検討しておきたい。
ただし、大型株相場になっても、大型株ならなんでも上がるというわけではない。たとえば不祥事やマイナス材料を抱える東芝やシャープなどに大きな株価上昇は望みにくい。マイナス金利が業績圧迫の要因となる銀行株なども上値は重いだろう。そのような懸念材料のない銘柄に目を向けたい。
具体的には、トヨタ自動車や日立製作所、JTといったTOPIXコア30に採用されているような大型優良株で保険をかけておくイメージである。そのような大型優良株は中小型株のような派手な値動きが期待できないと思うかもしれない。しかし、振り返ってみれば、アベノミクス相場の初期は大型優良株が相場をリードしてきたのも事実である。