一般家庭向けに電気の販売をする会社は、今では300社にものぼるとされ、顧客争奪戦が繰り広げられている。今年8月には東京電力エナジーパートナーが東北と九州に進出したことも話題になった。
競争が過熱するほど消費者にとってはお得なことが多くなるが、その分、どこの会社を選ぶべきか迷ってしまう。環境エネルギージャーナリストの本橋恵一さんの指摘。
「どの会社を選んでも、必ず安くなるとは言い切れません。よく調べずにプランを選び、かえって高くなってしまったというケースもあります」
「規制料金」より安いプランは必ずある
まず“絶対に損をしている”と言っても過言ではないのが、自由化以前と変わらず、地域独占をしていた従来の電力会社の同じプランを契約したままの人だ。なぜなら、新規参入の電力会社(新電力)のほとんどは、法律で定められている既存10社の「規制料金」を基準として、それよりも安くなることを大前提としているからだ。
「4年以上前から電力会社を変えておらず、検針票の『従量電灯』の欄にA、B、Cのいずれかが書いてあれば規制料金です。電気をまったく使っていなくても『基本料金』が必ず発生し、たくさん使うと、1kWh(キロワットアワー)あたりの単価も高くなっていきます」(本橋さん)
基本料金は、契約アンペア数(容量)によって異なり、アンペア数が高くなればなるほど料金も高くなる。
「電化製品の省エネ化が進んでいる現代は、戸建てに住む4人家族でも30Aで事足りるケースがほとんどです。しかし、50Aなど、大きなアンペアで契約している世帯は多い。東京電力の場合であれば、10A大きいごとに、毎月約280円余計にお金を払っていることになります。子供が独立し、高齢夫婦のふたり暮らしにもかかわらず60Aで契約し続けている家庭もありました」(本橋さん)
新電力に切り替えた場合も、アンペア数と料金が比例することは多い。現契約より10Aは下げられる世帯がほとんどだというので、切り替えの見積りの際はアンペア数の見直しも忘れないようにしたい。
※女性セブン2019年10月17日号