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介護保険だけで賄えない「在宅介護費用500万円」をどうカバーするか

「親の介護」に使える主な制度

「親の介護」に使える主な制度

「ついにこの日が来たか」。その連絡を受けたとき、63歳のA氏は覚悟した。実家で一人暮らしの母(86)の認知症が進み、深夜徘徊で警察に保護されたのだ。気丈だった母だが、正月に会った時に会話が噛み合わず、“もしかしたら”という予感はあった。だが、これから介護費用にいくらかかるのか、全く想像がつかない――。

 老親が介護を必要とする状態になったら、まず市区町村の地域包括支援センターに相談する。そこで介護保険制度の「要支援・要介護認定」に向けた手続きが始まり、認定(要支援1~要介護5までの7段階)されれば、介護サービスを受けられる(親が住民税非課税世帯なら自己負担1割)。

 しかし、実際にかかる費用は介護保険だけでカバーできないのが現実だ。両親を在宅介護で看取った経験がある介護ジャーナリスト・末並俊司氏が語る。

「在宅介護の場合、紙オムツや尿漏れシート代に月約2万円、嚥下しやすい流動食の費用、下の世話をする使い捨て手袋、ポータブルトイレの臭い消しなど、介護保険からは出ない費用がかさみます」

 生命保険文化センターの全国実態調査(平成30年度)によると、自宅で「在宅介護」を行なう際の住宅リフォームや介護ベッドなどの購入などにかかる初期費用が平均69万円、毎月の介護にかかる費用が平均7.8万円で年間ざっと100万円だ。介護した期間は平均4年7か月だから、初期費用を合わせた総額は約500万円かかる計算になる。

 この費用をどうすれば減らせるか。介護保険には毎月の介護サービス費とは別に、「高齢者住宅改修費用助成制度」がある。自宅への手すりの取り付け、床の段差の解消、トイレの和式から洋式への取り替えなどのリフォーム費用に最高18万円が助成される。

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