「運営としても、できれば値上げはしたくないところでしょうが、増税分を全部かぶるのは大きな痛手。かといって、10円単位で値上げするのは販売スタッフにとっては手間になるし、ファンにとっても小銭を用意しなければならなくなる。そういった点を考慮した結果、100円、もしくは500円の値上げという形になったのだと思います。ただ、アイドルたちも特典券の値上げは本意ではないでしょうし、たとえば会話する時間をちょっと長くするなど、ファンがより満足できるような特典にバージョンアップする可能性もあるでしょう」(大塚氏)
「本当に重要なのは値段ではない」
こういった特典券の値上げについて、アイドルファンはどう感じているのだろうか。地下アイドルのライブに足繁く通っているという40代男性会社員・Aさんはこう話す。
「特典券の1000円という価格設定は、安くはないものの、納得できるものだと思います。それが1100円になったところで、大きく値上がりしたというというほどではないですが、やはり100円玉を出すのは面倒くさい。かといって、1500円だとちょっと高く感じます。
消費税が上がったのに特典券を1000円で据え置きにしてくれているアイドルに対しては、それだけ営業努力をしてくれているわけだから、ありがとうという気持ちです。いつもなら1枚しか買っていないところを、感謝の気持を込めて2枚買ってあげたくなります。でも、1500円となると2枚で3000円。複数枚買うのはためらってしまいます。
本当に重要なのは、値段よりも、いかに楽しい特典の時間を体験できるかということ。1500円でも十分に満足できる特典であれば何の問題もない。“超神対応”になるというのであれば、むしろ値上げも歓迎です」
単なる値上げは嬉しくないだろうが、特典の内容次第では値上げも受け入れるというのがファンの心理。アイドル運営が消費増税を乗り越えるには、ファンを喜ばせるためのアイデアこそが必要なのかもしれない。