発表直後の動きに食らいつくのは危険が伴う
結果によって相場が大きく変動する経済指標の発表は、トレーダーにとっては絶好のチャンスだ。しかも多くは日本時間の夜であるうえ、日付や時間があらかじめ決まっているので、日中は仕事という人も「参戦」しやすいというメリットがある。今回は、羊飼いの指標発表時のトレード方法について紹介したい。
個人投資家の中には、事前に指標の結果や発表後の値動きを予想して、一か八かのポジションを取ろうとする人もいるようだ。
このようなトレードは当たれば大きいが、外れた時のリスクも非常に大きくギャンブル同然だ。少なくとも、コンスタントに利益を出し続けているトレーダーはこんな取引はしない。トレードは結果が発表されてからでも十分利益は取れる。
発表直後の動きに食らいついていったり、瞬発力の勝負だと考える人もいるかもしれないが、決してそれだけではない。むしろ、発表直後に動いた方向へやみくもに追いかけると、逆に危険を伴うことも多いのだ。
まず、指標の結果に対する市場の反応は、絶対的な良し悪しよりも、事前の市場予想とどれだけ離れているかで決まる、ということを覚えておきたい。
相場はすでに市場予想を織り込んで動いているので、良し悪しに関わらず予想通りの結果であれば大きな反応はないことが多い。アメリカの指標の場合、予想より良い結果となるポジティブサプライズであればドルが買われ、ネガティブサプライズが大きいほど売られることになる。
相場のトレンドが指標発表後の値動きを左右
こうした市場予想との乖離に加え、もうひとつ発表後の相場に大きな影響を与える要因がある。これを、2016年4月1日のアメリカ雇用統計発表時の例で説明しよう。