ちなみに、文化的価値のある物で制限があるのは重要文化財(重文)です。重文を文化庁長官の許可なく輸出すれば犯罪。国内売買でも、重文の所有者は文化庁長官に予定代金額を申し出て先買いの機会を与える義務があり、黙って売却すると罰金で処罰されます。
ともあれ、盾などを処分されて困るようなら、高校野球の優勝旗のように贈与ではなく、預けることにすればよいのです。そうすれば、表彰を受けた者が預けて保管しているトロフィー等を売り払ったりすると業務上横領になり、処罰されることになるからです。
売ったら返せ、という条件で贈呈はできますが、売った物を取り戻せるかは別問題です。また、貰った人は贈呈者のために所持しているとはいえないので、違反しても背任になることはありません。
【プロフィール】竹下正己●1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年11月8・15日号