数多くあるお金にまつわる手続きの中でも、とりわけトラブルが起きやすいのが、「相続」を巡る手続きだ。
近年は相続税を抑えるために、親が子などに生前贈与して相続財産をあらかじめ減らしておく例が少なくないが、その際には本人と贈与された人の署名・捺印がある贈与契約書の作成を忘れてはならない。
「双方が同意した贈与であることを文書にしておかないと、親の死後に他の兄弟などが『親から借りていたのではないか』と訴えて、トラブルになるケースがあります」(円満相続税理士法人代表で税理士の橘慶太氏)
ただ、親子だけで文書を作成するのは避けたほうがよいこともある。とりわけ、非課税となる年間110万円以下の「暦年贈与」を行なう場合は、贈与契約書の内容に注意が必要となる。
「贈与契約書に『毎年100万円を贈与する』などと記載すると、相続時に税務署が『大きな贈与を小分けにしているだけ』と判断して、遡って贈与税が発生するケースがある。
『契約書は1年ごとに作成する』『贈与額は年ごとにバラつかせる』など、相続ノウハウを知る税理士に任せた方が安心です」(橘氏)