授業の準備や部活動、保護者への対応など、その多忙な実態が報じられることが増えた学校教師という仕事。一方で、その教師たちの家庭はどうなっているのか。教師の家庭で育った子供たちに、自身の経験を聞いてみた。
宿題の相談に乗ってくれるので勉強は苦労せずに済んだ
「よく食卓の場で、熱心に議論し合っていました」──そう語るのは、父親が理科教師、母親が歴史教師という家庭で育った、30代の男性・Aさんだ。親族にも教育関係者が多かったが、自身は教職の道には進まず、会社員を選んだ。
「宿題の相談もこまめに乗ってくれたので、勉強ではあまり苦労せずに済みました。夏休みは自由研究や読書感想文にアドバイスをもらったことも。また、両親ともに、好きな教科を教える仕事に就いたぐらいなので、趣味を突きつめる姿勢は身につきました」(Aさん)
両親が教師であることの良さを感じる一方で、もどかしさを感じることもあったとAさんは振り返る。
「教師の子供であることが周囲にバレると、プレッシャーを感じることはありました。また家族旅行は修学旅行のようで、観光というよりは歴史的建造物を訪ねてばかり。ゲームも1日20分に制限されていましたが、友人との話題についていくためと言って、『ポケモン』だけは許してもらいました」(Aさん)
自身が社会に出ると、自身が育った環境と、一般家庭との違いに直面することが増えた。特に、「お金」に関する教育の差に驚くことが多かったと語る。
「これは教師の家庭だからかどうかはわかりませんが、サラリーマンの家と比べて、経済がどう回っているかといったお金まわりの知識に乏しいです。投資は一つもしてないし、不動産もほったらかしで、興味なし。両親も手元にあるお金を増やすのではなく、今ある給料の範囲で、堅実に最大限幸せになろう、というスタンスだったので、社会に出てから驚くことばかりでした。ただある意味、お金に関してトラブルになっている姿も見たことがなかったので、それはそれで幸せなことだったのかもしれないとは思います」(Aさん)