「リブラを買えば、間接的に複数の法定通貨を買うことになるので、自国通貨が不安定な国の人はリブラを買うメリットは大きい。しかも、リブラ協会の目論見通りに、世界中で使える安定した通貨が誕生すれば、旅行に行く際にわざわざ現地通貨に両替する必要はないし、為替変動に悩まされることもない。もしかしたら、リブラが基軸通貨になる日が来る可能性が考えられる。
一方、そうなれば既存の金融システムを脅かしかねないという事態を危惧してか、国際社会では“リブラ潰し”の動きが加速している。リブラが正式にスタートするまでには、まだ越えなければならない高い壁が立ちはだかっている」
主要国の規制当局がリブラに強い懸念を示すなかで、リブラ協会の創立メンバーに名を連ねた28社のうち、すでにEコマースのペイパルやイーベイ、クレジット会社のビザやマスターカードなど7社が脱退している。
また、2019年6月時点では、2020年前半の発行が計画されていたリブラだが、10月23日、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は米下院金融サービス委員会の公聴会に出席し、「米当局から許可を得るまで、全世界でリブラの発行はない」と明言した。それを受けてフェイスブックは同日、当初は2020年前半を計画していたリブラの発行を延期すると発表した。はたしてリブラは無事にスタートすることができるか。