「時は金なり」とは、貴重な時間を無駄にしてはいけないというあまりに有名な諺だが、現代人は“待つ”行為にどこまで価値を置いているのか? たとえば、日常的に利用する機会の多いエレベーターの場合、イライラせずにどこまで待てるだろうか。
2013年のシチズン『ビジネスパーソンの「待ち時間」意識調査』によると、エレベーターを待つ間のイライラは、60秒になると急増することがわかった。そうした待ち時間を企業努力によって改善する試みも進んでいる。
エレベーター業界で国内シェア1位を誇る三菱電機では、最新テクノロジーを駆使し、待ち時間短縮を物理的に可能にしているという。昇降機営業技術部課長の玉井雅さんが語る。
「複数台のエレベーター運行には『群管理』という制御システムを導入して、待ち時間が60秒以上の利用者の割合“長待ち率”をなるべく減らすよう努めています。また2014年には、行き先階ごとに利用者をまとめる『エレ・ナビ』システムを開発しました。全国で7件納入されていますが、平均待ち時間が約3割改善されたと好評をいただいています」
同時に、待ち時間に対する不満を低減させる工夫も。
「群管理システムでは60秒以上待っている人を優先して迎えにいくため、エレベーターが素通りしたり反転することもあるので、乗り場での階床表示をなくしています」(玉井さん)