投資情報会社・フィスコが11月11日~11月15日のドル円相場の見通しを解説する。
* * *
今週のドル円は伸び悩みか。米利下げ打ち止め観測が浮上しており、米中通商協議のさらなる進展への期待はあるものの、米中首脳による署名実現までは予断を許さない状況が続く見通し。注目の経済指標は、米国の消費者物価指数(CPI)と小売売上高となりそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は10月29-30日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で景気拡大に向け「適切に行動する」との従来の文言を声明文から削除。市場には利下げの打ち止めの思惑が広がるなか、CPIはコア指数も含め、底堅い内容が見込まれる。また、小売売上高も前回実績を上回ると予想されており、市場予想と一致すればリスク選好的なドル買いが入りやすい地合いとなろう。
米中通商協議に関しては、両国がこれまで相互に発動した輸入関税を段階的に撤回する方向。市場では歓迎されリスクオンのムードが広がっている。両国首脳は12月に会談を行なうとみられており、「第1段階」の合意に署名すると予想されている。ただ、これまで交渉過程を振り返ると投資家は慎重にならざるを得ず、リスク選好の円売りは限定的となろう。ドル・円は心理的な節目の110円を目前に利益確定を狙った売り圧力が強まるとみられ、伸び悩む展開が予想される。
【米・10月消費者物価コア指数(CPI)】(13日発表予定)
13日発表の10月コアCPIは前年比+2.4%と上昇率は、9月の+2.4%と同水準となる見通し。市場予想と一致すれば、早期追加利下げ観測は後退するとみられる。
【米・10月小売売上高】(15日発表予定)
15日発表の10月小売売上高は前月比+0.1%と、9月の同-0.3%から改善する見通し。景気をけん引する個人消費はまずまず順調であることが確認された場合は、長期金利の上昇を促し、ドル買い材料になるとみられる。